超音波検査 初心者の方へ

エコーは難しい!

超音波診断は職人技と言われるように、医学検査の中でも高度な技術を要求される検査です。医師や診療放射線技師、臨床検査技師、看護師・・・、病院で勤務している様々(といっても限られた資格者)な職種の方が、超音波検査を行っていますが、特にこれからエコーをスタートする方にとっては、非常に壁の髙い検査だと思います。

エコーが難しい理由が、やり方次第で画像の出方(良し悪し)が大きく変わってしまうことであったり、スキャンを行いながら動画像の中で診断をするため、その中で異常所見を発見する目が必要なこともあるでしょう。また、超音波画像における対象臓器ごとの異常所見あれこれの知識も重要なことですので、これを理解していなくてはならない。

ともかく、初心者にとっては検査したい場所を画像に出すことさえメチャクチャ難しかったりするのに、それをできる限り鮮明な画像として描出し、走査テクニックによって動画像化する中で病気を発見・診断する技術と知識が求められる検査ですね。しかもできるだけ短時間で。

そりゃあ、超音波検査をやるのは難しいワケです。

エコー技術の習得

医師の皆さんにしても、放射線技師や検査技師、看護師で、すでに超音波検査を行っているも、誰でも最初は初心者。学校の実習でちょっとプローブを持ったくらいの人が、国家試験に受かった状態ですぐにエコーができるという方はいません(というか、みたことがありません)。

それでは、超音波検査を行っている皆さんは、どうやって技術を磨いてきたのか?

病院内でエコー診断の教育システムが整っていて、指導者からみっちり教わりながら技術を身に付けてきた方もいるでしょうし、独学で専門書や教書などから勉強、実践しながら長い年月をかけて出来るようになったという方もいます。

どちらでも、しっかりとした知識と技術が身に付けば問題ないのですが、エコー技術の習得には、やはり多くの時間と経験が必要なことは間違いありません。少なくとも年単位の時間をかけて少しずつ技術が身に付くものと思いますし、何年やっていても、新たな気づきが日々出てきたりもします。学会や講習会、便紹介への参加も大切ですね。

超音波装置も毎年性能が向上するし、新しい技術もどんどん取り入れられますから、それについて行くのも大変です。ともかく、エコー検査技術の習得には時間がかかるってことです。

どこからはじめる?

超音波検査は検査対象とする領域によって、やり方(技術)も知識的な部分も異なりますから、どこからスタートしたらいいの?ということもよく聞かれます。

これは勤務先や所属部署によって求められる領域があれば、それに従うことになるのでしょうが、特にそれがなければどこからでも良いと思います。個人的には、技術的に高度なものが求められると思うのは腹部領域かと思いますので、腹部エコーの技術習得は少し時間がかかってしまうかもしれませんが、他の領域にも活かせる技術が習得できると思います。

腹部エコー(消化器、泌尿器)

検査対象臓器が多く、深さもまちまち。超音波が透過できない骨や気体も随所に存在するので技術的には最も難しい領域だと思います。加えて理解しておく疾患の種類も当然多いので、結構大変ですね。検査の需要は多いのでは。

心エコー

アプローチできる部分に制限があり、骨や肺が邪魔しやすい。正確な計測が求められるケースが多いので腹部とは違った高度な技術が求められます。測定項目が多く、ドプラの使用頻度も高いので装置を使いこなす技術も必須です。

甲状腺エコー・乳腺エコー

超音波の透過を妨げる構造がないため技術的には比較的容易ですが、高周波プローブを使用することから繊細な走査が求められます。病変を逃さずに確実に捉える目と、鑑別診断を行うための深い知識が重要。

血管エコー

対象とする血管や疾患によって、必要な技術と知識は異なります。よく行われる検査は、頸動脈や上肢・下肢動静脈、胸部・腹部血管、シャントエコー等。画像で見る印象よりも実際は細い構造を検査するので、やはり繊細なプローブ走査が大切になります。

産科エコー

産科エコーも条件さえ整えれば技術的にはさほど難しくない領域です。

整形外科領域

近年、整形外科領域に超音波診断が用いられるようになってきました。高周波のリニアプローブの性能が高まったこともあり、リウマチの診断をはじめ、関節エコーや筋や腱、靭帯などの検査に用いられます。テニス肘や捻挫、肉離れなどスポーツ外傷の評価で脚光を浴びています。

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